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書籍紹介②「体験の哲学」

書籍「体験の哲学」飲茶氏

久しぶりの書籍紹介です。前回に続いて飲茶氏の新刊「体験の哲学」をご紹介いたします。

表紙は人気漫画の「刃牙」の人気キャラクター範馬勇次郎。作者がファンだという事です。

内容は読みやすく、集中して読めば1時間弱で読めます。

哲学を学んだ事が無い方でもわかりやすく、専門用語を一切用いれないなど、作者の優しい配慮がよくわかります。

この書籍を一回読み終わっての感想は「これ禅書じゃん」です。

他の啓発本など、その時は理解していても、流行のように、一週間も経てば何も身についていない事がしばしばあります。

しかし、この本は実際に内容を理解した上で体験をさせる事を重要としているので、この本の示すように実行さえできれば必ず自身に変化はおきます。

内容はあまり書けませんので、私なりの理解で説明します。

例えば、等しく全ての人間の寿命が80歳であるならば、秒にして2,522,880,000秒。時間で700,800時間。日にして29,200日になります。

しかし、体感として人の一生は皆平等ではありません。(なんとなくわかると思います。)

一番明確に違いがわかるのは睡眠時間でしょう。一日6時間の人と9時間の人では87,600時間、日にして3650日の時間に差があります。

時間においてもこれだけ違いがありますが、体感としての時間にも個人個人では差があります。例えば、子供の時に感じた一日と現在における一日、そして高齢者になってからの一日では体感的に感じる時の流れはまったく感じ方が違います。

ただ、ぼーと生きれば人生はおそらく一瞬。子供時代のように、常に新しい刺激を受けて生きれば一日の体感は長く感じます。

曹洞宗の経典に「修証義」というお経があります。「光陰矢の如し」「悪戯に100歳生きる事なかれ」とあります。

ぼんやりと生きていたら人生はあなたが思っているよりも早く終焉を迎えます。飲茶さんは日頃の生き方にもっと目をむけて、一つ一つの体験(自身の)を注意深く味わって下さいと教えてくれています。そして、以外とあなたが思っているよりも、貴方が実際に経験している事は少ないかもしれません。だから、もっと注意深く一つ一つの生業(食事、呼吸、五感、ファッション、体験)をもっと丁寧に意識してする事の大切さを教えてくれています。

実は、それは禅宗では当たり前(しかしもっとも重要な)の仏道実践であります。食事の際は食事を味わい、坐禅の時は坐禅を味わい、作務の時は作務、トイレの時はトイレ…etc.など、作法を一つ一つ丁寧に実践しております。

ですから、この書籍を拝読して、思った事は「これは現代の禅書入門である」です。禅を伝えるってとっても難しいですから。これだけわかりやすく書けるのは作者の凄さが僧侶だからこそわかります。

現代の人(子供でもお年寄りでも)でも幅広く理解できるように意図されていますので、非常にわかりやすいです。

読みやすいですし、思わず笑ってしまう箇所もありますので是非一度拝読して見てください。禅の理解にも非常に役に立つ本だと思いました。

住職 永島 匡宏 合掌

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