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盂蘭盆施食会法要・目連救母

法要の様子

お久しぶりです。お坊さんにとって多忙のお盆シーズン。ようやくひと段落しました。

さて、毎年恒例の盂蘭盆施食会法要を8月19日に厳修いたしました。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、規模を縮小して三密を避け、法要も通常より短縮して実施いたしました。

いつもより寂しい法要となりましたが、それでも

さて、皆さんは盂蘭盆会施食会のご法要の意味はご存じでしょうか?

まずは簡単な説明をさせていただきますね。

盂蘭盆とは

そもそも盂蘭盆。これが皆さんが認識しているお盆の事です。お盆は旧暦7月13日から15日に行われる仏教行事です。現在は新暦の8月13日から15日に行われる場合と旧暦に行われる場合があり、これは地域によって異なります。

日本の文化、風習としてお盆休みとして実家に帰省したり、お墓参りしたりする時期として根付いています。一般的にはご先祖様が帰って来られる日という認識ではないでしょうか?現在認識される盂蘭盆は中国で様々な思想(仏教・道教)や文化、風土が合わさり、日本に伝わった形態になっています。

尚、日本で最初に文献として残っているもので斉明天皇3年(657年)に飛鳥寺にて盂蘭盆会を設けていると記録されているようです。

少し話がそれますが、「お中元」はこのお盆の時期に祖霊に対するお供え物をする習慣が現在のお中元になっています。※豆知識

さて、盂蘭盆会の起源は諸説ありますが、仏教として関連付けで説明されるのが「目連救母」のお話です。

目連救母

お釈迦様の十大弟子であり、神通第一(何事にも自由自在にできる、又は境地)目連尊者はある日、幼い頃に亡くなった目連尊者の母親をふと思い返しました。

目連尊者の記憶にある母親は慈悲心に溢れ、とても優しい良妻賢母のような方でした。

目連尊者は極楽浄土で安住しているだろうと、自身の神通力をもって極楽浄土の世界を観ましたが、いくら探しても母親はいませんでした。

まさかと思い地獄の世界を観てみると、なんと餓鬼地獄に母親の姿を発見したのです。

目連尊者の母親は生前の見る影もなく、餓鬼(飢えで苦しむ姿)に変貌し苦しんでいました。目連尊者は驚き、また哀れに思いました。

すぐに自身の神通力をもって、食べ物を母親に授けようとしましたが、母親が手を差し伸べると食べ物は突然焼かれ、灰になってしまいました。餓鬼地獄とは一生飢えに苦しむ地獄だからです。

目連尊者は慈悲の想いで釈尊に相談しました。

目連 「母親は生前、素晴らしい母親でした。しかし何故か今は餓鬼地獄にて苦しんでいます。なぜ、母親は餓鬼地獄に落ちてしまったのでしょう。

釈尊「目連尊者よ、尊者の母親は貴方や家族にはとても良い人間でしたが、家族を想うあまりに周りが見えなくなり、時に良くない業を行していたのです。その業によって現在も餓鬼となり苦しんでいるのです。」

目連「釈尊よ。母親は救われる事はないのでしょうか。このままではあまりにも不憫です。どうか救いの方法を教え下さい。」

釈尊「尊者よ、本来は生前の因果においてでしか人は救われる事はない。だが一つだけ目連の母親を救う方法がある。それは毎年雨期(インドでは年に二回3か月間雨が集中して降る時期がある。※日本の梅雨Longversion)になると山や森にて集中して修行していた僧侶(修行僧)たちが町へ降りてくる。民の人はその僧侶たちに場を設けお盆に一杯のご飯や食事を施しなさい。そして僧侶たちは修行によって得た智慧の教え(法話)を民に興じなさい。この布施の功徳により、僧侶に施した食事を通して、餓鬼地獄に落ちたものたちに食事が行き渡る事でしょう。」

目連「釈尊よ。有難うございます。早速実行してみます」

釈尊より導かれた目連尊者は言われた通り、民衆に雨期の修行から町に来た僧侶達に食事を施しをしてもらい、僧侶たちには仏教の法を説かせました。

目連尊者は急いで餓鬼地獄を覗き、母親の姿を見ると母親は食事を口にする事ができ、更にその功徳を受け、光明の光を浴びて極楽浄土の世界へと導かれていくのでした。

母親「目連。有難う。おかげで餓鬼の苦しみから解き放たれました。本当に有難う。」

こうして母親は餓鬼地獄から救われたのです。

逸話目連救母より

この目連尊者の話は寓話でしょうが、普遍的な人間の道理を説いていると思います。盂蘭盆の精神はこの話からも垣間見る事ができるでしょう。

盂蘭盆施食会法要はたんなる先祖供養ではなく、僧侶、施主による仏道修行の実践であります。

細かい話になると膨大な話になりますのでこの辺りで終わります。仏教って本当に面白いんですよ。是非、色々と調べて下さい。また時間があるときに仏教の話を紹介させていただきます。拝読有難うございました。

住職 永島 匡宏 合掌

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